● 「酸化」と「還元」について
今、健康長寿のためには体のサビを防ぐつまり酸化を防ぐ必要があるということでした。
ここで、酸化の防止法について、また酸化された状態を健康な状態に戻す還元について述べなければなりません。先に述べた釘の鉄サビもそうですが、銅に緑青が浮いたり、金属製のアクセサリーが変色するのも酸化です。また、使った油を置いておくとイヤな匂いがしてきますが、これも油が酸化されたためです。それに対して還元はあまり聞き慣れない言葉かもしれません。ここで言う還元とは酸化とまったく反対の反応を指し、酸化される前の状態に戻すことをあらわしています。この酸化還元反応は、電子の受け渡しに関係しています。
物理で勉強したと思いますが、原子は中心にプラスの電荷を持つ原子核を持ち、その周りを マイナスの電荷を持つ電子が回っています。電子は原子核を中心とする軌道(電子殻)を回っていますが、軌道には電子が二つずつ対になって入っています。このとき、一番外側の軌道の電子が対になっていれば、化学的に安定した状態です。しかし、これが対になっていないと、他の原子から電子を奪ったり、逆に奪い取られたりして安定を保とうとします。
この電子のやり取りが、「酸化還元反応」と言われるものです。電子が奪われることを「酸化」、電子と結びつくことを「還元」と言います。そして、こうした酸化還元反応は私達の体の中でも起きています。
● シミ・ソバカスも体の酸化反応の結果
電子のやり取り、つまり酸化還元反応が私達の体でも起こっているということは、サビをつくるような酸化作用、それにサビを落とす還元作用が同時に行われているということです。分かりやすい例に、女性の大敵であるシミやソバカスについて説明しましょう。
シミやソバカスは、強力な紫外線に当たったときにできます。私達の皮膚は、一番外側に角質層、次に表皮、基底層、真皮、皮下脂肪という構造になっています。このうち三番目の基底層では細胞の増殖が盛んに行われていて、新しくできた細胞は古い細胞を表皮から皮膚の外側に押し出します。押し出された古い細胞は、最後に角質層から皮膚の外側に出されますが、これがいわゆるアカになります。
一番外側の角質層は最も古い細胞で、紫外線を反射したり� ��収したりして、体の奥に紫外線が達しないような役割も果たしています。
ここからが重要なことです。
酸化を知らない人は、紫外線が当たればシミやソバカスができてしまうと思いがちですが、そんな単純なことではありません。紫外線が皮膚に当たると、そこに活性酸素が発生し、細胞を酸化してしまうのです。細胞が酸化されてしまうということは、細胞が死んだり、細胞が持つ本来の機能を果たせなくなってしまうということです。そこで、酸化という被害がこれ以上体に広がらないように、ガードします。それが、メラニン色素というものです。
メラニン色素は嫌われ者ですが、もともとは体の自衛手段なのです。それも、酸化が進行しないようにするというありがたい色素なのです。普通、紫外線の影響がなくなる� �、メラニン色素は角質層から取れていきます。しかし、それがきれいに掃除されないで残ると、シミやソバカスになってしまうのです。
ところで、同じように紫外線を浴びても、肌にメラニン色素があまりできない人がいます。それは、個人の還元力が違うからです。還元力の強い人は活性酸素の発生が少なく、細胞の酸化も少なくてすみます。その結果、メラニン色素というガードが少なくてすむからだと考えられています。
また、フロンがオゾン層を破壊し、紫外線が強くなって皮膚ガンの危険が増すと言われています。これもただ紫外線が皮膚ガンをつくってしまうわけではありません。シミやソバカスと同じように、そこに活性酸素が生まれて細胞の酸化を引き起こし、ガンをつくるのです。いかに酸化作用が怖いか、そ して還元力がいかに大事かがよくお分かりいただけると思います。
● 体内でも酸化還元反応を起きている
酸化還元反応は、私達の体の表面でだけ起きているわけではありません。私達の目に見えない体の奥でも起こっています。それが命の源と言ってもいいでしょう。
たとえば、動脈の血液の色です。酸素を体に運ぶ動脈の血液は赤い色をしています。酸素は酸化剤の代表ですから、ヘモグロビンに含まれる鉄原子が酸素によって酸化され、赤くなっているからです。一方、酸素を取られた静脈は黒い色をしています。これは細胞に運ばれた酸素が鉄原子から離れたためですが、血液が還元された状態と言えます。もう一つ、体のなかの酸化還元反応をあげましょう。
タンパク質や脂肪が燃えるとエネルギーになりますが、これも酸化反応です。酸素と反応してタンパク質や脂肪が燃えると、エネルギーが放出されます。私達はこ のエネルギーを使って体を動かし、いろいろな運動をしています。一方、物が燃えるという現象で還元を説明することは非常に困難です。というのは、燃えてエネルギーを放出してしまった物を元の状態に戻すことがむずかしいからです。しかし、還元と酸化は逆の反応であることはすでに分かっていますから、エネルギーがどうなるかは理解できます。酸化がエネルギーの放出であれば、還元はエネルギーの蓄積ということになるのです。
体には酸素が必要です。細胞に酸素が運ばれなくなると、エネルギーが出せなくなってしまいます。そうなれば、私達は生きてはいけません。
問題は過剰な酸化力です。必要以上に体の酸化力が強くなれば、健康に悪影響を及ぼします。現実に病気になっている人は、その酸化力のために体� ��異常が生じてしまった人達です。
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● ビタミンが体にいいといわれる理由
昔からビタミン類は体にいいと言われています。病院へのお見舞いなどでも、リンゴやバナナ、ミカンなどの詰め合わせを持参し、「ビタミン豊富だから体にいいよ」などと言ったりします。
では、なぜビタミン類が体にいいと言われているかご存じでしょうか。この問いに対し、とっさに明快な回答を出すのはなかなかむずかしいように思われます。
実は、ビタミン類が私達の体にいい理由は、ビタミンには還元作用があるからなのです。ビタミンにはいろいろな種類がありますが、ほとんどのビタミンが体を健康に保つための大切な還元力をもっているからです。まず、ビタミンEは油に溶ける性質があり、主な活躍場所は脂質でできている細胞膜や角膜などです。そこで万病の元である活性酸素に出会うと、活性酸素を 還元してしまいます。活性酸素を還元するとビタミンE自身も不安定になりますが、そこにビタミンCがやってくるとすぐに元のビタミンEの姿に返ります。
それは、ビタミンCのもつ強い還元力によります。ビタミンCはビタミンEと同様に活性酸素を還元するだけでなく、活性酸素を還元して不安定になったビタミンEを安定させることができるからです。すると、今度はビタミンCが不安定になってしまいます。しかし、よくしたもので、今度はビタミンBに助けられて、不安定になったビタミンCは元の安定したビタミンCの姿を取り戻すのです。ビタミン類は、こうしてお互いに助け合い、体を酸化させる活性酸素を還元していきます。つまり、"還元の輪"がビタミンによってつくられ、体がそれ以上酸化してしまうのを� �いでいるわけです。
「ビタミンはまんべんなく取らないといけない」と昔から言われていますが、それは体を酸化から守る"還元の輪"を切らさないようにする知恵だったのです。
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